沖縄の研究開発型スタートアップの希望
沖縄科学技術大学院大学 OIST発ベンチャーエコシステムについて
こんにちは。
株式会社レキサン リージョナルキャリア沖縄 代表の島村です。
前回は、沖縄の社会課題である「稼ぐ力」と、弊社の人材紹介事業でどのように関わっているか?に関して述べました。
その中でも、重要な打ち手である「競争力の高い産業を生み出していくこと」、「外需で稼ぐ」事に関して、沖縄の研究開発型スタートアップ・ベンチャーにおいて、希望になるであろう沖縄科学技術大学院大学(OIST)発ベンチャーの動向に関して、今回はお話しようと思います。
お話させていただく前に、前回のおさらいをさせていただくと、
社会課題
沖縄の課題は「ザル経済」、「一人当たりの県民所得は全国最低水準」、
ゆえに沖縄の社会課題は「稼ぐ力」である
目標は給与の増加
打ち手の一つ
「外需で稼ぐ」「価格勝負ではなく、競争力があり付加価値の高い産業をつくる必要性」が必要。と述べました。
競争力の高い産業や事業をつくるためには、イノベーションやテクノロジーが不可欠です。
沖縄科学技術大学院大学とは
恩納村にある沖縄科学技術大学院大学(以下OIST)とは、
2012年に創設された内閣府が戦略的に創設した大学院大学です。(通常、大学は文科省管轄)
OISTの建学の志としては大きく2つあります。
- 世界の科学技術発展へ寄与する
- 沖縄の経済発展に寄与する
今のOISTの課題を端的に伝えると、
OISTの研究結果を技術移転し、どう沖縄や日本の経済に貢献するか?という点に尽きます。
その中で様々な取組をしていますが、
以下の取組が主な大きな目玉になります。(県内経営者の私からはそう見えます)
- OISTの研究成果を事業化や、産学連携した価値創出する試み
- OIST発アクセラレータープログラムで、国外からスタートアップや海外起業家を恩納村に呼び寄せ、OIST内のインキュベーション施設で事業化をサポートしています。
前者はまだこれからといった感じですが(私が存じ上げてなかっただけでしたらすみません。教えてください!)、後者はいくつか成功しそうなケースが見受けられます。
後者のスタートアップは研究開発型の企業で、いわゆるディープテックとか、リアルテックとか言われているのですが、科学的または工学的な発見や革新的技術に基づいたテクノロジーソリューションを目指すベンチャー企業です。
OIST発ベンチャー企業
そこからは、インド人のナラヤンさんが農業資材向けのオーガニック吸水性ポリマーを開発する、いわゆるアグリテック分野の弊社クライアントさまであるEFポリマー さん、また他にも、遺伝子を特定するためのソフトウェアプラットフォームを開発するGenomeMiner社 など、海外起業家が沖縄にきて、技術系スタートアップのスケールアップにトライしております。
もちろん沖縄県内や国内起業家の方々もいらっしゃいます。
弊社のクライアントのSAVORYさんもOISTインキュベーション施設に入居されています。
2019年から始まったばかりですがアクセラレーションプログラムを通して、年に2~3社、海外起業家の研究開発型スタートアップが沖縄に移転しています。
まだはじまったばかりの試みであり、研究開発型スタートアップは収益化するまでとても長い時間を要します。事業化に成功すれば、それは非常に大きなインパクトを残します。また、研究開発型事業ですので、マーケットは国内だけでなく海外ももちろん含まれます。いわゆるクロスボーダーなスタートアップになります。
近年、日本のスタートアップやベンチャー界隈が東京を中心に賑やかになっておりますが、そのほとんどがIT系スタートアップになり、ドメインは基本的に国内を前提にしています。
OISTでスケールアップを目指すスタートアップは、海外展開を前提に事業を組み立てています。
皆さん海外起業家なのでもちろんですね。まさに、沖縄から世界を相手に勝負する事業を立ち上げようと皆さん奮闘しています。
これが成功すれば、競争力が高い唯一無二の、また県外はもとより国外からの外需を獲得できる事業ができることになります。
そして、まだ未成熟ではありますが、このスタートアップやベンチャーのエコシステムの萌芽がここ沖縄の恩納村から生まれつつあります。また2022年1月の記事で、スタートアップ育成に50億円規模の創業支援ファンドの設立を立ち上げるというニュースもあり、より加速していこうという意志が伺えます。https://www.asahi.com/articles/ASQ1V4CBBQ17TIPE010.html
弊社としても、いち県内経営者の私としても、沖縄県の総意(勝手に総意にしてます笑)としても、ぜひとも、この取組が成功してほしいし、成功させたい! と強く思っております。
そのためには、OISTに集うスタートアップやベンチャーの成功をさせないといけません。
特に海外起業家や研究開発型スタートアップが、ここ沖縄で成功することによって、
「沖縄」 = 「海外起業家のlaunch pad(発射台)」
「沖縄」 = 「ディープテックのメッカ」
という認知ができれば、非常に大きな地域資産となります。
ただし、とても多くの課題があります。
- 難易度が高いディープテック系事業のスタートアップ
- ファウンダーが海外起業家で、日本のマーケットや商習慣に対して土地勘がない
- 起業家は研究者から事業を起こしたので、研究開発には強いが、ビジネスサイドに弱いケースが多い
という点から起因しています。
こういった課題を、OISTはもとより、沖縄県や日本のベンチャーエコシステムとして支えていくことが必要ですし、いち沖縄県企業の我社も、ここを強く支援していきたいと思っております。
2022年4月より、上記のOIST内のインキュベーション施設 (イノベーションスクエアインキュベーター)に、入居させて頂くことになりました。フリーアドレスですが、定期的に施設に通うことにより、沖縄・OISTに集うスタートアップの採用活動をはじめとした支援をしていきます。もし、研究開発型のスタートアップやベンチャーにご興味がある方は、お問い合わせください
加えて微力ながらですが、OISTの企業版ふるさと納税で、弊社として寄付をさせて頂きました。
制度をつくって第1号目の寄付だったようです。
OISTという好機を捉えて、ベンチャーのエコシステムを活性化し、より豊かな沖縄になるよう、支援をしていきます。そして沖縄で育った多くのスタートアップ企業達が、沖縄から世界を相手に勝負し、世界を席巻する日がくると思うと、とてもワクワクしますね~。
ビジョンであり、夢です。
最後に、
こうして社業を通して、弊社のビジョンである、
『この島に関わる誰もがバイタリティに溢れ、
文化や自然環境など沖縄らしさを大切にしながら成長を続け
世界がその価値を高く評価する沖縄を創出する』を実現すべく、社業に邁進していきます。
宜しければ、ビジョン・ミッションのページもご覧ください。https://lequison.com/mission/