OIST(沖縄科学技術大学院大学)とは?沖縄に設立された3つの理由や県民との関わりを解説
OIST(沖縄科学技術大学院大学)は、沖縄県恩納村に2011年に設立された大学院大学です。
世界トップレベルの研究を推進し、国際的な教育環境を提供するOIST。
その特徴や沖縄に設立された理由、そして地域との関わりについて詳しく解説します。
OIST(沖縄科学技術大学院大学)とは?3つの特徴
OIST(沖縄科学技術大学院大学)はどういう大学なのか、3つの特徴から解説します。
- 学問の分野を交えるアプローチ
- 多様性を重視した国際的な環境
- 自由と独立性を尊重した研究
それぞれの詳細を確認していきましょう。
1. 学問の分野を交えるアプローチ
OISTは、従来の学部の壁を取り払い、学際的なアプローチを重視しています。異なる分野の学問同士が交わる領域を探求することで、新たな発見や革新的な研究成果が期待できるからです。
たとえば、下記のような学問がそれぞれ垣根を超えて交流し、新たな研究を進めています。
- 化学
- 工学
- 数学
- 海洋学
- 物理学
- 生態学
- 生物学
- 神経科学
- 計算機科学
様々な分野の知識や手法を組み合わせることで、複雑な問題に対する独創的なソリューションを生み出すことが期待されています。
2. 多様性を重視した国際的な環境
OISTは、教員、学生、職員の多くを海外から採用し、多様性を重視した国際的な環境になっています。
58ヶ国・地域から集まった教員84名および職員927名が在籍。(2024年現在)
外国人比率は41%、女性比率は54%と、実際の数字にも現れています。
また、教育および研究は全て英語で行われ、国際的な交流や協力が促進されているのも特徴です。
多様性を重視することで、異なる背景を持つ人々の交流から生まれる創造性や革新性を育むのに役立っています。
3. 自由と独立性を尊重した研究
OISTでは、教員の独立性および研究の自由が尊重されています。
各教員は自身の研究テーマを自由に設定でき、その研究を推進するために提供される資金は潤沢です。
こうした自由な研究環境は、教員の創造性を最大限に引き出し、革新的な研究成果につながることが期待されています。
また、教員の独立性を尊重したOISTの環境は、世界トップレベルの研究者を惹きつけ、高い研究水準を維持する要素にも繋がっています。
OISTはなぜ沖縄にあるのか
非常に高い研究水準のOISTは、なぜ沖縄にあるのでしょうか?
その理由はいくつかありますが、代表的なものは以下の4つだといえるでしょう。
- 科学技術の発展、沖縄への貢献
- 沖縄の経済的発展
- アジアの中心にある沖縄の国際性
- 豊かな自然環境
それぞれ簡単に解説します。
1. 科学技術の発展、沖縄への貢献
日本政府は、沖縄の科学技術の発展を通じて、日本全体の科学技術力を向上させることを目指しています。
実際、OISTの設立以来、沖縄県の科学技術関連の指標は大きく改善し、世界ランキングでも9位に上昇しました。
OISTは、沖縄が科学技術の分野で国際的に貢献するための重要な役割を担っています。
Nature Index年間ランキングについて
OISTが
2. 沖縄の経済的発展
OISTは沖縄の経済基盤を強化し、地域の発展に寄与することを目指しています。
大学院大学から生まれる研究成果や人材が、地域の企業や産業と連携することで、新たなイノベーションや経済活動が創出されると期待できるからです。
そのためOISTは、沖縄の技術移転と産業革新を牽引する知的クラスターの形成を目指しています。
実際に沖縄で生活を営むいち県民としては、OISTが沖縄の経済的発展に貢献できているのかどうか、明確には示せていないと思うのが正直な印象です。
もしかすると、OISTのありがたさは課題感かもしれないという意見もあります。
一方で、OISTをキッカケに新しい産業が出現しているのも事実。今後はよりいっそうOISTと沖縄県の連携が重要となるでしょう。
参考:【対談】沖縄への移住転職相談を機に出会い、そして沖縄で起業の道へ
3. アジアの中心にある沖縄の国際性
地理的にアジアの中心に位置している沖縄は、国際的な交流を促進するのに適した場所です。
OISTはこの沖縄の立地を活かし、アジアを中心とした世界各国から多様な文化や国籍の研究者や学生を受け入れています。
グローバルな環境の中で、OISTはアジアと世界を結ぶ研究拠点として、国際的な視点での研究を推進しています。
4. 豊かな自然環境
亜熱帯気候に属する沖縄は、豊かな自然環境に恵まれています。
この環境は、特に生物学や環境科学の研究にとって大きな利点となります。
例えば、沖縄の海洋環境は、サンゴ礁や熱帯性の海洋生物など、独自の生態系を有しており、海洋生物学や生態学の研究に最適です。
また、沖縄の陸上環境も、希少な動植物や特有の生態系を有しており、生物多様性の研究に適しています。
OISTは、この恵まれた自然環境を活かし、世界的にも意義の高い研究を推進しています。
OISTと沖縄の関わり
OISTと沖縄の関わりについて、以下3つの視点から解説します。
- 一般人でも見学が可能
- 沖縄県の子ども達が参加できるイベントを開催
- 一般職員や保育士さんに沖縄県民を採用
それぞれの詳細をチェックしていきましょう。
1. 一般人でも見学が可能
OISTの施設は、一般人でも見学できます。
ただし、予約なしの自由見学では研究エリアには入れないなど制限もあるため注意が必要です。
オープンツアーが定期的に開かれておりますので、ご興味のある方はぜひ一度OISTを見学してみてください。
OIST見学の概要
- ガイド付きツアー:毎週火・木13:30-14:10、予約必要、定員20名。
- 自由見学:毎日9:00-17:00(年末年始除く)、予約不要。正面玄関で名前を記入しパスを受け取る。15名以上は連絡必要。
- 問い合わせ:地域連携セクション 098-966-2184
詳細については、一般向けOIST見学 | 沖縄科学技術大学院大学(OIST)を確認ください。
2. 沖縄県の子ども達が参加できるイベントを開催
小学生や幼稚園生を対象にした「こどもかがくきょうしつ」や、中学生を対象にしたジュニアサイエンスプログラムなど、年齢に合わせたプログラムを多数用意。
詳しくは、OIST公式ページにある「小学校向け」のページをご参照ください。
参考記事:小学校向け | 沖縄科学技術大学院大学(OIST)
3. 一般職員や保育士さんに沖縄県民を採用
OISTは、研究者やスタートアップ企業の印象が強いかもしれませんが、実際には施設で働く一般職員の中にも沖縄県民が多く採用されています。
例えば事務職員や技術職員、そして保育士などです。
具体的な数字は公表されていませんが、OISTの毎年の事業計画では「年間の新規採用者数における沖縄県在住者採用割合」が定められています。
参考資料:令和4(2022)年度 事業報告書
OISTは、沖縄県民の雇用創出の場でもあるといってよいでしょう。
COLUMN:OISTの保育施設
OISTには、学生や職員のための保育施設も設けられています。
日本語と英語の二言語で質の高い教育が特徴です。
国際的な環境の中で、子ども達は異文化理解や語学力を身につけることができます。
参考記事:保育・幼児教育|沖縄科学技術大学大学院(OIST)
OISTとレキサンの関係
転職エージェントである弊社、株式会社レキサンは、OISTの事業の直接支援や、支援会社との連携でサポートさせていただいております。
以下の4点に絞って、ご紹介させてください。
- OISTスタートアップ支援
- OISTのアクセラレータープログラムとは?
- ふるさと納税を活用しOIST発プロジェクトを支援
- OISTの採用支援
1. OISTスタートアップ支援
レキサンは、合同会社HAKKIと連携し、OISTのスタートアップ企業に対して、人材採用支援とインキュベーション支援を行っています。
人材採用支援では、レキサンの持つ人材ネットワークを活用し、OISTのスタートアップ企業に優秀な人材を紹介。
特に、研究開発型のスタートアップ企業では、経理や労務などのバックオフィス業務、日本語への翻訳業務、行政への申請書類等に人材を割くことが難しいのが課題です。
レキサンとHAKKIは連携して、これらの課題解決を支援しています。
インキュベーション支援では、HAKKIがOISTのスタートアップ企業に寄り添い、事業開発やバックオフィス業務のサポートを行っています。
レキサンは、このHAKKIの取り組みを支援し、OISTから世界を目指すスタートアップ企業の成長を後押し。
レキサンとHAKKIは、OISTの地域資源を活用し、沖縄から世界に通用するディープテック企業を輩出することを目指しています。
関連記事:【対談】沖縄への移住転職相談を機に出会い、そして沖縄で起業の道へ
2. OISTのアクセラレータープログラムとは?
OISTのアクセラレータープログラムは、世界中の起業家を対象に、研究開発型スタートアップの立ち上げを支援するプログラムです。
年に2~3社の海外起業家が選抜され、最大1,000万円の事業費が提供されます。
起業家はOISTの研究者として雇用され、最先端の研究設備や人材を活用しながら事業化を進めることが可能。
株式会社レキサンは、このアクセラレータープログラムで採択されたスタートアップに対し、人材採用支援を行っています。
また、レキサンはOISTのインキュベーション施設「iSquare」に席を設け、定期的に現地で入居ベンチャーの支援を行っています。
3. ふるさと納税を活用しOIST発プロジェクトを支援
OISTと恩納村が共同で進める地方創生の取り組みに「沖縄科学技術大学院大学学園プロジェクト推進事業エコロジカル・スマートリゾート実現プロジェクト」があります。
このプロジェクトは、恩納村の恵まれた自然環境を次世代に引き継ぎ、環境負荷が少ない持続可能なまちづくりを目指すものです。
具体的には、「世界一サンゴと人にやさしいむら」の実現に向けて、OISTの研究成果を活用した環境保全や地域振興などの取り組みが行われます。
株式会社レキサンは、2022年1月31日に企業版ふるさと納税を活用して、この「沖縄科学技術大学院大学学園プロジェクト推進事業エコロジカル・スマートリゾート実現プロジェクト」に40万円を寄付しました。
この寄付は同プロジェクトにおける第1号となり、レキサンはOISTと恩納村が進める持続可能なまちづくりを支援しています。
まとめ
OIST(沖縄科学技術大学院大学)の特徴や沖縄に設立された理由、そして地域との関わりについて解説してきました。
OISTは、学際的なアプローチ、国際的な環境、自由な研究環境という特徴を持ち、沖縄の科学技術の発展、経済的発展、国際性の向上に貢献している大学です。
また、一般の方も見学できるイベントや、子ども向けのプログラムを提供するなど、地域との交流も大切にしています。
弊社株式会社レキサンは、OISTのスタートアップ支援や採用支援など、様々な形でOISTの取り組みをサポートしています。
今後もOISTやOIST発のスタートアップと共に、沖縄そして日本の科学技術の発展に寄与していきます。
沖縄で移住したい、事業をしたい、沖縄に関わる仕事をしたいなど、ご相談ごとがありましたら、お気軽にお問い合わせくださいませ。
その方にとって最適な道を導けるように沖縄への移住・転職を中心に相談を受け付けております。