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「科学的アプローチで環境問題を解決したい」

そんな志を抱き、大学・大学院で化学を専攻し、学生時代は研究と実験に明け暮れた中川康さん=群馬県出身。

世界トップクラスの外資系化学メーカー勤務などを経て、2023年12月には沖縄県恩納村にある沖縄科学技術大学院大学(OIST)発のアグリテックベンチャー「EF Polymer株式会社」に再就職し、研究開発スペシャリストとして活躍しています。

一見すると華々しい経歴ですが、順風満帆にたどり着いた道ではありません。

同社への再就職をサポートした株式会社レキサン社長の島村賢太が中川さんを訪ね、これまでの歩みを語り合いました。浮かび上がってきたのは、一つ一つの出会いを大切にしながら、志高く歩み続けてきた中川さんのしなやかで揺るぎない生きざまです。(2024年7月取材)

 

出会いから4年、新たな扉を開いた「運命の1日」

島村:中川さんのキャリアの歩みは、転職成功者インタビュー「沖縄で研究開発をリスタート。大切に育んだ信頼関係が奇跡的な転職に繋がった。」で紹介させてもらいましたが、今回は裏話も含めて、さらに詳しくお聞かせください。EF Polymerさんへの転職は2023年11月末に届いた、中川さんからのLINEメッセージがきっかけでした。

中川:そうでした。当時の私は、経営していた会社で入金詐欺に遭い、「事業を畳んで、東京で再就職するしかない」という状態でした。遅くとも年明けには沖縄を離れるつもりだったので、2018年に転職をサポートしてもらって以来お世話になってきた島村さんに、最後のご挨拶をしたかったんです。

島村:そんな事情とは知らず、「誰か誘って焼肉にでも行きましょうか」と軽く返信したところ、「大事なお話があるので2人がいいです」との返信があり…「のっぴきならない事情があるな」と驚きました。

中川:ご心配おかけしました(笑)。でも、あの日、もし別の方が一緒だったら今の結果はなかったかもしれません。島村さんとサシ飲みできて良かった。まさに「運命の1日」になりました!

「1社だけ紹介したい会社があります」

島村:結果的に「運命の1日」となりましたが、中川さんはあの日までに、東京を中心に約300社に履歴書を送付済みで、既に5社の最終面接に進む段階でした。

中川:沖縄には私が希望する研究職は少ない上、給与水準は東京のおよそ3分の1。経済的なことを考えて「東京で転職するしかない」と思ったわけです。

島村:中川さんの話を伺いながら、「調べ尽くして考え抜いた結果の判断だろう」と思いました。一方で、言葉の端々から「本当は沖縄にいたいはずだ」とも感じました。それで、「まだ沖縄に残りたい気持ちはありますか?」と確認したんですよ。

中川:さすがです! 実は…私が沖縄に移住して、有期雇用で働きながら事業を立ち上げたのは、働く場所や時間に制約が少ない仕事をして、ボランティア活動などを通して社会貢献したかったからです。でも、道半ばで沖縄を離れざるを得ない現状になり悔しかった。それで、島村さんには「可能であれば残りたいです」とお答えしたんです。

島村:私はその言葉を待っていたんです! 沖縄に残りたいという中川さんの意思を確認できたので、「1社だけ紹介したい会社があります」と話し、EF Polymerさんの情報をお伝えしました。でも…中川さんの反応は、「ふ〜ん」という感じ。期待感ゼロでしたよね(笑)。

中川:ごめんなさい(笑)。正直言えば「スタートアップは厳しいよな」と思っていました。多くの研究機関や企業を見てきて、事業化の難しさを知っていましたから。学術的には素晴らしくても、事業化して成功するとは限らないからです。

島村:中川さんは1社目の外資系化学メーカーで、研究開発だけでなく営業職も経験されたので、スタートアップの難しさを誰よりもご存知でした。私も多くは語らず、ひとまず資料をお送りして考えてもらおうというスタンスでした。

科学的アプローチで環境や人に貢献したい


中川:ところが、島村さんから届いたEF Polymerの資料を見て、そのポテンシャルとユニークさに衝撃を受けました。世界中の研究者や企業が長年にわたってプラスチックに代わる素材を石油以外のものから開発しようと研究を続けていますが、今なお有効な開発には至っていません。それなのに、EF Polymerが実現していることを知り、大きな魅力と可能性を感じました。

島村:ご自身が研究開発に携わってきたからこそ、その凄さを実感されたんでしょうね。すぐに同社への応募と面接が始まり、トントン拍子でCEOとの最終面接に進みました。給与や待遇の良かった東京の企業ではなく、EF Polymerへの入社を決断したのはどうしてですか。

中川:東京で転職するしかないと思っていた私が、「今なぜEF ポリマーの面接を受けているんだろう」と不思議でたまりませんでした。なので、CEOとの最終面接の際、「ここにいること自体が奇跡的だと感じる。もし私を採用してくれるのなら、誠実に忠実に精一杯働かせてもらう」と伝えました。

島村:そんなやりとりがあったのですね。CEOはどう答えられたのですか?

中川:しばらく「うーん」と考えた後に、「君を採用する」とその場で伝えてくれました。「明日からでもいいので来てください」と(笑)。さすがに翌日入社は手続き的に難しかったので3日後に入社しました。

島村:中川さんは大学や大学院時代に、「科学的アプローチで環境問題を解決したい」との志をお持ちでした。EF Polymerへの再就職は、そんな「原点」とのつながりを感じます。

中川:学生時代は、地球温暖化の原因であるCO2を減らしたいと思い、二酸化炭素からプラスチックを作る研究開発を志していました。そして今EF Polymerでは、バナナやオレンジの皮などの自然素材で吸収性ポリマーを作っています。私にとって「地球に優しい」はキーワードですね。

身近な人との繋がりを大切にしたい

島村:志の高さを感じます。中川さんが働く上で大切にしていることは?

中川:「愛」や「心」を持って行動することです。EF Polymerの仕事は、科学的アプローチで心や生活を豊かにできる仕事です。もちろん今も「社会に貢献したい」「地球環境を守りたい」という目標はありますが、より身近な人々を幸せにしたいと考えています。

島村:中川さんは、人との繋がりを大切にしています。中川さんと私の出会いは、コールセンターへの転職をサポートさせてもらった2018年でした。それから定期的にLINEしたり食事に行ったりと、互いに連絡を取り合うようになりました。

中川:私は常々「一つ一つの出会いを大切にしたい」と思っています。島村さんも一期一会を大切にされる方なので、今なお繋がりが続いているのだと思います。

島村:人との繋がりを大切にされる理由は?

中川:幼い頃からこれまでに、多くの人に愛され、支えてもらったからでしょうか。それを少しでも社会に還元できたらいいなと思います。若い時はそれが「環境問題の解決」という視点でしたが、最近は小さなコミュニティや隣の一人をサポートしたいと考えるようになりました。

島村:EF Polymerさんの研究開発は、目の前の人も助けるけど、地球環境を守る仕事でもあります。

中川:本当にそうですね。こうして振り返ると、本当に奇跡的な転職だったと今も不思議な気持ちです。これから転職される方へのアドバイスとしては、「信頼できる転職コンサルタントさんを見つけて、焼肉に行くこと!」ですかね(笑)。

島村:「運命の焼肉」ですね(笑)。志が高く、何事も徹して挑戦される中川さんとお話しするのは、私自身すごく楽しいですし、刺激をもらっています。これからもよろしくお願いします!

(写真と文・佐藤ひろこ)

対談を終えて

中川さんとの対談を終え、彼のキャリアの多様さと強い志に改めて感銘を受けました。中川さんは、新卒で世界トップクラスの外資化学系素材メーカーに入社し、営業・マーケティングを担当していました。この経験から、川上の素材マーケットでのニーズを熟知しており、その知識と洞察力がEF Polymerのオーガニックポリマーに対する強い市場ニーズを見抜く基盤となっていました。彼は入社前から、誰よりもEF Polymerの可能性を予見していたのです。

実際にEF Polymerに入社して研究職に就いた中川さんは、その予見を確信に変え、研究に打ち込んでいます。彼は既に新製品開発で成果を出し始めており、中川さんの研究に対する情熱と成果を目の当たりにし、彼が持つ専門知識と実践力の高さを再認識しました。

また、沖縄に移住し、研究職から離れていた期間に起業し、海外向けネット販売事業を経験したことが、現在の研究職に非常に活きているという話も印象的でした。ビジネスの経験則が研究への取り組みに活きることは、分野が違っても根本は一緒なのだな、基本は一緒なのだなと気づかされました。中川さんの多様な経験が、彼の研究に対するアプローチをより豊かで実践的なものにしています。

中川さんのキャリアは、ただの転職成功談ではなく、一つ一つの経験が積み重なり、現在の彼を形成していることを感じさせます。中川さんが20年近く前に新卒入社する際に「科学的アプローチで環境問題を解決したい」という志が、場所を変えて沖縄で実際にそれを実現しようと奮闘している姿がとても嬉しかったです。

これからも中川さんのご活躍を心から応援するとともに、EF Polymerの一員として、さらなる飛躍を期待しています。

株式会社レキサン
代表取締役 島村賢太

当社が運営しております、リージョナルキャリア沖縄に【リージョナルHERO】という転職を成功させた方のエピソードを載せた記事を紹介しています。

 

■中川康さんの転職成功者インタビュー
「沖縄で研究開発をリスタート。大切に育んだ信頼関係が奇跡的な転職に繋がった」
はこちらより↓ よろしければご一読ください。

リージョナルHERO 転職、転職エージェント

 


沖縄で移住したい、事業をしたい、沖縄に関わる仕事をしたいなど、ご相談ごとがありましたら、お気軽にお問い合わせくださいませ。
その方にとって最適な道を導けるように沖縄への移住・転職を中心に相談を受け付けております。


 

島村 賢太 Shimamura Kenta
キャリアコンサルタント
沖縄県石垣島生まれ。横浜国立大学を卒業後、株式会社リクルートへ入社。その後「リージョナルキャリア長野」において人材紹介業の営業職、コンサルタント職として従事。沖縄にUターン後、株式会社レキサンを設立し、代表取締役に。3児の父であり、休日は子供とMinecraftに勤しんでいる。

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