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こんにちは。レキサン(サービス名称:リージョナルキャリア沖縄)にて、沖縄で転職エージェント(人材紹介業)を経営している代表の島村です。沖縄県内の企業様の中途採用を幅広く採用しておりますが、特にベンチャーやスタートアップに対して力を入れて採用支援をしています。

特に当ブログでこれまで何度かお話しましたが、OIST(沖縄科学技術大学院大学)発のスタートアップが成功することは、輸出産業が少なく観光業などのサービス業に偏っている沖縄にとって非常に有意義だと思い、OISTベンチャーには特に力を入れて支援をしています。わたし自ら月3回程度はOISTのインキュベーション施設のコワーキングスペースに出社して仕事をしています。

先日、OISTスタートアップのEFpolymer社にて、技術マネジャーの採用をお手伝いし、実際にご入社に至った方の転職者、八木沢さんのインタビュー記事を掲載させて頂きました。下記リンクよりご覧ください。

リージョナルHERO 転職、転職エージェント

EFPolymer、OIST 技術マネジャー八木沢さん、レキサン、島村

個人的には非常に力を入れてお手伝いして、思い入れのあるマッチングでありました。

インキュベーションで仕事をしている際に、同じ施設で八木沢さんをお見掛けするのですが、活き活きと元気に働いていらっしゃる様子をみて、本当に良かったなあと仕事冥利を感じます。

まさに八木沢さんのように、首都圏などの一流企業の最前線で活躍し揉まれた経験のある方が、想いと覚悟を持って沖縄のスタートアップに思い切って移住転職して、元気に活躍される。このようなマッチングをもっともっと増やして、沖縄のスタートアップエコシステムの発展に寄与していきたい、スタートアップをアクセラレートしたいと強く思っています。

OISTのベンチャーは全て、研究開発型スタートアップになります。そのほとんどが世界展開を見据えて事業を組み立てています。

そんなスタートアップが創業期に、特にプレシードやシード期と言われる、創業者含めて1~2名のフェーズでどんな人材を求めているか?ということを述べたいと思います。

OISTのスタートアップベンチャー「EF Polymer」へ転職した八木沢さんと対談記事はこちらから。

OISTのスタートアップベンチャー「EF Polymer」へ転職した八木沢さんと対談

 

【目次】

  1. OISTスタートアップで働く「英語×日本語」の能力の必要性
  2. プレシードやシード期に求められる3つの職種
    1. COO候補となるBizDev(事業開発)
    2. CTO候補となる技術者、研究者
    3. CFO候補となるファイナンス、会計業務
  3. COO候補、CTO候補、CFO候補に期待されること
  4. 実際に転職サポートで感じたスタートアップ転職する際のネック
    1. そもそも希少人材
    2. 沖縄への移住を伴う転職である
  5. スタートアップに飛び込む勇気や動機
    1. 年収面におけるギャップ
  6. 社会に大きなインパクトを与えるやりがい
  7. 沖縄の新しい産業の創出を支援する

OISTスタートアップで働く「英語×日本語」の能力の必要性

左からEFPolymerCOOの下地さん、創業者のナラヤンさん、八木沢さん、島村
まず、OISTスタートアップに関しては特殊ですが、創業者はほとんどの場合は研究者であり、海外起業家です。創業者が日本人でない限り日本語ができるケースはありません。

なので、英語が堪能な人材がマストになります。(もちろん日本人経営者も何名かいらっしゃいます。)

また、OISTのアクセラレータープログラムを受けているスタートアップが多く、前提として拠点を沖縄恩納村のOISTに設ける必要があり、まずビジネス開発の拠点を日本に照準を合わせている企業が多く、日本でビジネス開発をするにあたり高い日本語の能力を求められます。

プレシードやシード期に求められる3つの職種

基本的なスキルとしては語学力とお話しさせていただきました。
次に、求められる職種としては3職種を必要な順番からご紹介します。

COO候補となるBizDev(事業開発)

研究開発型スタートアップにおいて、BizDev職の役割は非常に重要です。この職種は、新規ビジネスのアイデアを生み出し、事業化するために必要なビジネススキルや戦略を持っています。具体的には、ビジネスモデルの開発、市場調査、顧客開拓、資金調達、ビジネスパートナーシップの構築などが求められます。また、スタートアップの成長を支援するために、コンサルティングや戦略的な提携を行うこともあります。BizDev職の人材は、ビジネスとテクノロジーの両方に関心を持ち、それらを組み合わせて新しいビジネスの可能性を追求することができます。ビジネスと技術の両方の側面を理解し、それらを統合することができる人材が求められます。

CTO候補となる技術者、研究者

研究開発型スタートアップにおいて、CTOは技術的な観点から事業の成功に大きく貢献する役割を担います。具体的には、製品開発や研究開発の戦略の立案や実行、技術的な問題解決などが求められます。また、CTOは技術的な側面だけでなく、ビジネス戦略の立案や資金調達の手配などのビジネス面でも貢献することが期待されます。

CFO候補となるファイナンス、会計業務

研究開発型スタートアップのCFO候補としては、ファイナンスや会計業務に加えて、日本語と英語の両方を話す能力があることが求められます。これは、特にディープテック領域の主要な投資家が日本人であることや、日本語の高い能力がビジネス開発に必要であることによるものです。また、初期の段階では、経理や会計面でのサポートがあれば十分であるため、CFOは必ずしもフルタイムで必要ではありません。副業や業務委託でスポット的にサポートを得ることが多く、事業が本格的に軌道に乗った際にフルタイムでジョインする形になります。

COO候補、CTO候補、CFO候補に期待されること

OIST スタートアップインキュベーション施設、iSquareのBio Techラボにて

給与原資の少ないベンチャーでは一人二役三役は当たり前で、BizDevがベンチャーファイナンスを知っており、VCなど投資家とのコミュニケーションを取るケースが多いです。両方の立ち回りができる人材がいればベストです。特にOIST発ベンチャーだと、創業者が研究者出身であり、ビジネスサイドには経験が薄いケースがほとんどです。まず真っ先に英語ができるBizDev人材を求められ、将来的にCOO的な活躍が期待されます。

研究者や技術者に関しては、当初はインターンやアルバイトで研究補助の人材をあてがうケースが多いですが、事業が軌道にのってきたタイミングで、唯一の研究者であり創業者がビジネス側に力を割かれて、生命線である研究に没頭できないタイミングが訪れます。創業者のマンパワーが事業のボトルネックとなり、研究を代わりに担ってくれるCTOや技術マネジャーを求めるタイミングがきます。ちなみに英語ができればベストですが、そうなると研究も英語もできる人材は希少なので、採用できません。語学力はWantのケースが多いです。

更に事業が進んでくると、研究開発型スタートアップに特化したディープテック領域の主な投資家はBeyond Next VenturesやLifetime VenturesなどのVCやエンジェル投資家は日本人ですが、日本人相手に資金調達などのコミュニケーションが発生しますので、英語と日本語の両方ができるCFOが求められます。これまで経理や会計面でOISTのサポートが得られていたフェーズから、専門的なCFOが必要になってきます。ただし、CFOは常時必要な職務でないので、副業や業務委託でスポット的にサポートを得るケースが多く、事業が本格的に軌道に乗った際にフルタイムでジョインする形になります。またファイナンスの仕事だけでなく、やはりCOO的に事業開発を同時並行でする必要があります。

実際に転職サポートで感じたスタートアップ転職する際のネック

これまでのOISTスタートアップのシード期における採用活動を通して、採用ネックが主に4つあります。

  1. 上記の3つの職種に適う人材が超希少である
  2. 沖縄への移住を伴う転職であること
  3. スタートアップに飛び込む勇気や動機
  4. 年収面

そもそも希少人材

まず、上記の3つの職種に適う人材がとても希少です。特に研究開発で特定の分野の経験を求める場合、なかなか出会うことができません。沖縄県内ではまず対象者がいないので、全国や世界にも対象者を拡げてサーチしました。基本的に希望勤務地に拘らない人が対象者になります。全てを満たさなくても何かの人材要件を妥協する必要があります。とはいえ、シード期のスタートアップの人材は少数精鋭で一騎当千の人材ではないと、なかなか立ち回りがうまくいきません。

となると、その人材のポテンシャルや意欲や情熱にかける必要があります。

沖縄への移住を伴う転職である

実際に対象者が見つかったとしても、希望勤務地に拘らない場合でも、いざ沖縄への移住を本格検討する際には、ご家族の反対にあったりでなかなか事はスムーズに運びません。OISTがあるのは沖縄でも都心部から離れたリゾート地であり、都心部に住んでいる人の生活からすると大きくライフスタイルが変わります。そもそも沖縄は気候も風土も文化も、本州と比べて大きな違いがあります。なので、実際にOISTのスタートアップにジョインした人たちを見ると、沖縄に何かしらポジティブな思いを持っている人でないとなかなか難しいなという印象があります。または独身者で身軽な方が多いなという印象です。もしご検討される方は沖縄の生活情報もキャッチアップすることをお勧めします。

スタートアップに飛び込む勇気や動機

これは、何もOIST発ベンチャーに限ったことではないのですが、やはりスタートアップに飛び込むには動機や勇気が必要になります。

スタートアップに求められる人材は他社でも活躍している人材です。実際に採用選考にのる方々は今いる組織で活躍しているケースがほとんどです。となると、今活躍している組織を離れて、不安定な明日を見通しづらいスタートアップに飛び込んでもらう必要があります。ある種、ちょっとネジが外れている必要があります(笑)

OISTベンチャーはディープテック領域であり、WEBやIT系のそれと比べて、製品や技術の開発に時間がかかるため事業が立ち上がるまで長期投資が必要になります。また、多額の資金調達額が必要になりますので、事業の成功確率は低くなります。そんな研究開発型スタートアップに飛び込む人たちは、大きな事業に挑戦すること自体に魅力を感じ、自分のスキルを試し、成長することを期待している人が多い印象です。

年収面におけるギャップ

 最後に、選考が進みいよいよ採用となった際にぶち当たる壁が支払える給与です。やはり、年収面は大きなネックになります。スタートアップは、一般企業と比較して創業期は給与が低い傾向があります。しかし、一方で優秀な人材を求めており、その人材はえてして高い給与を得ています。ですので、現給与とだいぶギャップがあるのが正直なところです。

一方で、創業期にジョインを考えている優秀な人材にはストックオプション(SO)や株式で報いるという形を検討するスタートアップもあります。創業期でビジネスサイドには詳しくないため、きちんとしたSO制度を導入しているケースはほとんどないのですが、それでもSOの存在はVCなどから情報提供があり、きちんと認識している創業者がほとんどです。将来的にSO導入を前提に、紳士協定のような形で、アバウトにSOの付与数をすり合わせるケースが多い印象です。

とはいえ、SOは将来的な報酬であり、現在の生活資金を確保が大事になりますので、副業OKにしてスタートアップの仕事を本業として、副業で生活費を賄うように配慮しているスタートアップが多い印象です。

社会に大きなインパクトを与えるやりがい

このように、OISTの研究開発型スタートアップに転職するには壁がありチャレンジングな側面があります。

しかし、チャレンジしたい、成長したい人、社会にインパクトを与えたい人にとって非常にやりがいがあるのは間違いないです。

研究開発型スタートアップは、科学技術を実用化するためには時間と費用がかかる一方で、ブレークスルーを達成すると社会的インパクトが大きく、事業の成長度合いもネットサービスとは比べものにならないほどの二次関数的な成長を見せる可能性があります。また、言語の壁が無く日本だけでなく世界に向けてインパクトを及ぼせます。確信を持って言えるのは、ディープテックスタートアップは世界で活躍する可能性を秘めているということです。

研究開発型スタートアップは、社会に与える影響力が大きいため、自分が開発した製品や技術が、世界を変える可能性があるというやりがいを感じることができます。

沖縄の新しい産業の創出を支援する

弊社は主に沖縄へのUIターン移住に伴う転職をサポートしている沖縄特化型の転職エージェントですので、沖縄の情報はもちろん、沖縄の中小企業から上場企業まで成長意欲ある会社や、知名度は低いですがこれからの可能性を秘めたスタートアップなどのベンチャーの情報をお渡しすることできます。

これからは大学発ベンチャー・ディープテック領域より力をいれいき、これからの沖縄の新しい産業を生み出し、豊かな沖縄を創っていくのに必要だと実感しています。スタートアップのCxO人材などの採用支援実績もありますし、研究者とビジネスパーソンのマッチングにも力を入れています。沖縄から世界に通ずるスタートアップ創出に挑みたい転職希望者や研究者の方は、ぜひ当社にご相談いただけると幸いです!


島村 賢太 Shimamura Kenta
キャリアコンサルタント
沖縄県石垣島生まれ。横浜国立大学を卒業後、株式会社リクルートへ入社。その後「リージョナルキャリア長野」において人材紹介業の営業職、コンサルタント職として従事。沖縄にUターン後、株式会社レキサンを設立し、代表取締役に。3児の父であり、休日は子供とMinecraftに勤しんでいる。

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