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沖縄振興開発金融公庫の調査によると、沖縄への移住希望者の約半数が「仕事の確保」に不安を感じているという結果が出ています。沖縄の転職エージェントとして数多くの移住相談に携わってきた経験からも、その主な理由は「仕事の確保」にあると実感しています。特にUターン・Iターン希望者は、「仕事の確保」や「給与・収入が減る可能性」への懸念が他の移住パターンと比べて高くなっています。

年中温暖な気候や豊かな自然、独自の文化など、沖縄には多くの魅力があります。しかし、移住後も定着できず数年以内に転出されるケースも少なくありません。

本記事では、沖縄への移住を成功させるために知っておくべき3つの重要な課題と、その具体的な解決方法をご紹介します。これまで数多くの方の移住相談に対応してきた現役転職エージェントならではの実践的なアドバイスを、実例を交えてお伝えします。

なお、具体的な失敗事例とその教訓については、関連記事『失敗事例から学ぶ沖縄への転職活動』もあわせてご覧ください。沖縄での新生活を検討されている皆様に、より現実的な準備のヒントとしていただければ幸いです。

沖縄へ転職し移住する際の3つの課題

沖縄振興開発金融公庫の調査でも指摘されているように、沖縄への移住で最も大きな壁となるのが「仕事」です。私たちが日々の転職支援を通じて把握している主な課題は、以下の3つです。

1. スキルやキャリアが活かせるとは限らない

沖縄特有の産業構造により、これまでのキャリアを直接活かせない可能性があります。

2. 都心部と沖縄で年収に差がある

給与水準の違いにより、現在の収入を維持できないケースが多く見られます。

3. 家族の合意を得られない場合がある

年収の変化や生活環境の変化により、家族全員の合意を得ることが困難な場合があります。

それぞれの課題について詳しく解説し、実際の事例を交えながら対応方法をご紹介します。

課題1:スキルやキャリアが活かせるとは限らない

沖縄県の産業構造は本土とは大きく異なります。観光をはじめとするサービス業や建設業、最近だとIT情報通信業が主要産業である一方、本州の主要産業である製造業や首都圏に集中している金融業等は沖縄では非常に限られています。そのため、県外で培ってきたスキルやキャリアを、そのまま沖縄で活かせないというケースも起こりえます。

特に製造業や金融業での経験を持つ方や、専門性の高い職種に就いていた方は、その経験を直接活かせる機会が少ない傾向にあります。さらに、業界そのものが沖縄に存在しないケースもあり、キャリアプランの見直しが必要となることがあります。

ただし、これは必ずしもこれまでのスキルが無駄になるということではありません。例えば、マネジメント経験を観光産業で活かしたり、技術職の経験をコンサルティングに活かしたり、または営業スキルを沖縄の主要産業で発揮したりするなど、新たな形での活用方法を見出すことができます。

重要なのは、沖縄の産業特性を理解した上で、自身のスキルやキャリアを柔軟に捉え直すことです。より詳しい産業構造や転職事例については、参考記事『沖縄へUIターン転職を検討されている方必見!沖縄県の産業・仕事・暮らし・子育てとは?』をご覧ください。

課題2:都心部と沖縄で年収に差がある

沖縄の平均年収は330万円程度と言われており、これは全国平均と比べて100万円近く低い水準です。この背景には、沖縄県が抱える「稼ぐ力」という構造的な課題があります。

沖縄県の産業構造を見ると、観光関連産業に従事する方が4人に1人と言われており、多くのサービス業が県外資本によって運営されています。そのため、観光で得られた収益の多くが県外に流出する「ザル経済」と呼ばれる状況が続いています。

また、県内企業の約7割が赤字経営という現状もあり、人材育成や設備投資などの成長投資が十分に行えていません。このような状況から、都心部で働いていた方が現在の給与水準を維持したまま沖縄での転職先を探そうとすると、選択肢が限られることがあります。

これはあくまで我々の実感値ですが、所得の高い首都圏から沖縄に移住転職する場合、25%~30%ほど給与ダウンするのが相場です。

この表はあくまで弊社がお手伝いさせて頂いたUIターン転職者の決定者の、転職前の年収と沖縄移住転職後の年収の比較になります。沖縄では比較的、高給の求人を扱っている弊社の実績でもやはり25%ダウンという結果になっております。

※左側の円グラフのUIターン前の年収は残業時間や通勤費を含んでの源泉徴収票ベースの給与となり、右側の円グラフのUIターン後の年収は、残業時間や通勤費は含まれておりません

余談ですが私たちレキサンは、沖縄の「稼ぐ力」を向上させるため、微力ながらも県内企業の意識改革に取り組んでいます。特に「人への投資」の重要性を訴え、「給与水準の向上が優秀な人材の確保につながる」という提案を行っています。

より詳しい状況や取り組みについては、関連記事『沖縄の社会課題「稼ぐ力」に人材紹介業が密接に関係する理由』をご覧ください。

課題3:家族の合意を得られない場合がある

沖縄への移住は、ご本人だけでなく家族全員の生活環境が大きく変化することを意味します。前述したようなキャリアの違いや年収の変化に加え、気候や文化の違いなど、実際に住むまでイメージがつきにくい面も多くあります。

特に配偶者やお子様がいらっしゃる場合は、慎重な検討が必要です。例えば、配偶者の就職先の問題や、お子様の教育環境の変化など、家族それぞれが直面する課題があります。年収の減少による生活水準の変化を懸念されるケースや、教育環境の違いを心配されるケースなども見受けられます。またIターンの方の場合、将来的な親の介護などもあるので、場合によっては親族とも合意を得る必要もあるでしょう。

そのため、移住を検討する際は、ご家族などステークホルダー全員とじっくりと話し合い、それぞれの不安や懸念点を共有することが重要です。可能であれば、実際に沖縄を訪れて生活環境を確認したり、現地の教育機関を見学したりすることも、家族の理解を得る上で効果的かもしれません。

沖縄での具体的な暮らしぶりや働き方をより詳しく知りたい方は、『沖縄での働き方は他県とは違う?実際に働いている人の体験談を紹介』をご覧ください。

沖縄移住と転職の課題を乗り越えるには

ここまで見てきたように、沖縄への移住と転職には特有の課題があります。これらを克服し、成功への道筋を立てるために、具体的な取り組みをご紹介します。

1. 移住前の入念な準備と情報収集

家族全員が納得して移住するためには、事前の準備が欠かせません。生活費や収入のバランス、教育環境、住居環境など、具体的な数字やデータに基づいて検討することが重要です。特に、ご家族がいる方は、配偶者の就職先や子どもの教育環境について、実際に現地を訪れて確認することをお勧めします。

移住前の準備や生活面での具体的なポイントは、『沖縄に移住したい!仕事と生活で失敗しないためにメリット・デメリットを解説』をご覧ください。

2. 転職市場の特性理解とキャリア戦略の構築

沖縄の産業構造を理解し、自身のスキルやキャリアを活かせる方法を見出すことが大切です。必ずしも今までと同じ職種や業界である必要はありません。観光やサービス業など、沖縄の主要産業で自身の経験を活かせる方法を柔軟に検討しましょう。

特にハイクラス転職をお考えの方は、『沖縄でハイクラス転職は可能?実情から実現のポイント、注意点まで解説』で詳しい情報をご確認いただけます。

3. 沖縄の働き方文化への理解

沖縄には独自の企業文化や働き方があります。年収面では都心部との差がありますが、ワークライフバランスを重視した働き方や、人とのつながりを大切にする文化など、沖縄ならではの価値観を理解することが重要です。

沖縄特有の働き方や文化については、『沖縄での働き方は他県とは違う?実際に働いている人の体験談を紹介』で実例をご紹介しています。

4. 長期的なキャリアビジョンの構築

移住直後は収入が減少する可能性もありますが、それを一時的な踊り場と捉え、長期的な視点でキャリアを考えることが大切です。沖縄での新しいビジネスチャンスの発見や、独自の専門性の構築など、将来的な成長の可能性を見据えましょう。

沖縄での転職を成功に導くポイントについては、『沖縄の転職の本当の勝ち組を転職エージェントが解説!』で詳しく解説しています。

これらの取り組みは、一朝一夕に実現できるものではありません。しかし、明確な計画を立て、段階的に準備を進めることで、沖縄での新しい生活とキャリアを実現することができます。私たちレキサンは、そんな皆様の挑戦を全力でサポートいたします。

実際に沖縄へ転職して移住した人の事例

ここでは、実際に課題を克服し、沖縄での新しいキャリアを築かれた方々をご紹介します。20代で単身移住を決意した方、40代で家族を考慮しながら決断された方など、それぞれの状況に応じた移住の形があります。ご自身の参考になる事例を見つけていただければ幸いです。

【事例1】株式会社サイダス | 佐藤恵里香さん(29歳女性・インサイドセールス)

都内大手メーカーから沖縄のIT企業へ転職された佐藤さん。キャリアの活かし方や収入の変化、新しい環境への適応など、様々な不安を抱えながらも、着実な準備と柔軟な姿勢で理想の移住を実現されました。「行かないで後悔するより、行ってみて大変な思いをするほうがいい」という言葉には、実際に移住を経験した方ならではの説得力があります。

東京から沖縄へ。これからの人生は、自分の好きな場所で新たな出会いを楽しみたい。

【事例2】ガリレオスコープ株式会社 | 今井幸雄さん(45歳男性・新規事業開発)

リクルートでの人材業界経験を持つ今井さん。45歳という転機に、家族を関東に残しての単身赴任という選択、明確な収入基準の設定、人材業界での経験を活かせる職場の慎重な選択など、移住における課題を一つずつクリアされました。「いろんなことが曖昧だったり、何も決まってなかったりするのが沖縄の特徴。一から創り上げる楽しさを感じられる人がバリューを発揮できる」という言葉は、沖縄でのビジネスを考える方への貴重なアドバイスとなっています。

千葉から沖縄へIターン転職。趣味も仕事も充実した日々。

まとめ

沖縄への移住・転職を成功させる鍵は、直面する課題を正しく理解し、十分な準備を行うことにあります。本記事でご紹介した事例からも分かるように、スキルの活用方法、年収の調整、家族との合意形成など、それぞれの課題に対して、綿密な計画と柔軟な姿勢で向き合うことが重要です。

沖縄には、本土とは異なる産業構造や働き方があります。しかし、それは必ずしもマイナスではなく、新たな可能性を見出すチャンスでもあります。ご紹介した成功事例のように、自身の状況に合わせた移住の形を見つけ出すことが可能です。

私たちレキサンは、皆様の沖縄移住における様々な課題に対して、実践的なアドバイスと具体的な解決策を提供してまいります。まずは気軽にご相談ください。

レキサン スタッフ
レキサン スタッフLEQUISON Staff
株式会社レキサンのスタッフが情報をお届けします。転職をお考えの方や企業にとって役に立つコラムや、会社のことや沖縄の情報を発信してまいります。

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