BLOG ブログ
BLOG

私たちの企業は、2017年に創業してから2023年4月までの間に、累計200件以上の転職マッチングをサポートしました。これらのデータに基づき、いくつかの興味深い傾向が見えてきました。

弊社は、企業の即戦力となる人材採用や将来の幹部候補の採用を支援することが多く、沖縄県内の企業から高い紹介料を払ってでも採用したいと思う求人や人材を多く担当しています。このような観点から、私たちは、転職を検討されているビジネスパーソンの方々に役立つ情報を提供したいと思います。

転職相談を受けると、「年収は相当下がりそうだが、給与はどのくらいか?」「そもそも沖縄に求人はあるのか?」というお声が多いです。実際に厚生労働省が労働者の賃金についての調査を行う、「賃金構造基本統計調査」の調査結果によると、全国で46位(つまり下から2番目)の低さであり、沖縄移住検討者の常に悩みのタネになります。

今回は、特に悩みの多い年収面と、その年収を担保する求人について、弊社の転職支援実績のデータと現場の転職エージェントからの生の声を交えながら、沖縄での転職で年収500万円以上の給与を確保する方法についてご紹介します。

※なぜ500万円以上と設定しているかというと、後述のデータにもありますが、県内の平均年収において、もっとも高い区分にあたる男性50代前半で約520万円です。その年収を一つのベンチマークとしています。

※この情報は弊社(沖縄に特化した転職専門エージェント)が集めたものであり、偏りがある可能性がある点をご留意ください。

自身のキャリアだけではなく家族や親の人生を考えたうえでの転職

まず最初に、弊社が支援した転職決定した転職者の年齢傾向についてです。

転職をお手伝いする方々の中で、30代後半が一番多く、実際にマッチングした方々の平均年齢は37.9歳となります。

この年齢は、一般的にキャリアが安定し、経験と知識が一番脂が乗ってくる時期です。多くの人にとってキャリアの中でも特に重要な時期となります。これまでの経験と知識が豊富になり、仕事にも自信を持って取り組むことができる一方で、自分のキャリアの方向性や、ご家族を含めたこれからの人生について真剣に考える期間でもあります。

また、私たちが取り扱う転職相談の中で、一般的な転職とは異なり、首都圏などから沖縄へ移住を伴う転職相談が全相談者の約半分を占めています。この種の転職を考える方々の多くは、出産や育児、子どもの進学・自立、親の介護など、人生の大きなイベントをきっかけに転職を考えていらっしゃいます。

つまり、人生の重大な転機、意思決定の場面に立っている転職者が多く、それは自身のキャリアだけではなく家族や親の人生を考えたうえでの決断を下す場面です。

このような方々に、沖縄での新たなキャリアと生活をイメージしやすくするために、本ブログを記しています。

 

レキサンが紹介した方の平均決定年収

人材紹介会社が企業からお預かりする求人は、転職者が即戦力として期待され、または将来の幹部候補として視野に入れられているため、年収が一般的な求人よりも高くなる傾向があります。

具体的には、弊社がお手伝いした転職者の平均決定年収は413万円で、その中の27%が500万円以上の年収を得ています。また、私たちの支援によって最も高い年収の事例は1,100万円でした。

弊社転職支援での決定年収帯

平均年齢は37.9歳 平均決定年収413万円

年収帯 比率
300万円以下 21.2%
300~400万円 39.6%
400~500万円 24.5%
500~600万円 15.1%
600~700万円 7.1%
700万円以上 5.3%

以下は一般的な沖縄県内の求人データとの比較です。

沖縄県内における年齢別の平均年収(男女計)

年齢 平均年収(万円)
32歳 352.9
37歳 375.7
42歳 406.2
47歳 427.2

※2023年3月に公表された厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より
※諸手当を含む総支給額

つまり、転職エージェントでの県内の決定平均年収は413万円(平均年齢37.9歳)であり、沖縄県内労働者の37歳の平均年収が375.7万円となり、約10%ほど高い値になります。

上記の給与は、求人を選定する際や、実際に内定のオファーを承諾するかどうか、ひとつの参考になるやもしれません。

全国や、特に首都圏のビジネスパーソンの感覚値からすると、給与の低さにとてもギャップを感じられるかと思います。

では、年収がダウンするにしても、ダウン幅があまり無いようにするためには、また給与をアップさせるためには、どのような求人の傾向があるかご紹介できればと思います。

職種別についての実績のご紹介

弊社の決定実績212件において、決定職種の割合は以下になります。(※2023年6月現在)

職種 割合
営業・営業管理・CS系 26.9%
ITエンジニア・Web系 22.6%
専門職(コンサルタント、金融、不動産) 12.7%
事務・管理・企画系 17.5%
経営幹部・経営管理職 7.1%
製造業技術者(電気、電子、機械技術者、素材、食品、医療技術者) 6.1%
建築・建設・土木技術者 5.2%
その他(サービス、販売、運輸系、教育、医療、福祉) 1.9%

次に500万円以上の年収の決定事例に絞って分析します。

全212件中の約20%にあたる、500万円以上の50件に限って職種の傾向をみると以下のようになります。

職種 件数 割合(500万円以上の求人に絞った) 全求人212件に対する割合
事務・管理・企画系 13 26% 17.5%
ITエンジニア・Web系 10 20% 22.6%
営業・営業管理・CS系 10 20% 26.9%
経営幹部、経営管理職 8 16% 7.1%
専門職(コンサルタント、金融、不動産) 4 8% 12.7%
製造業技術者(電気、電子、機械技術者、素材、食品、医療技術者) 3 6% 6.1%
建築、建設、土木技術者 1 2% 5.2%
その他(サービス、販売、運輸系、教育、医療、福祉) 1 2% 1.9%

このテーブルからいくつかの重要な情報を引き出すことができます。

事務・管理・企画系の求人が最も多い

この職種の求人は全体でも最も多く、年収500万円以上のカテゴリーでも最も多い。これは、このタイプの職種が企業にとって重要であり、高い報酬を得る可能性があることを示しています。この職種で高年収帯の求人の特徴を挙げると、管理職の求人が目立ちます。例えば、管理部長やCFO、人事部長、購買責任者、物流管理責任者、法務責任者など管理系専門スキル×マネジメントポジションになります。どの企業でも必要な汎用的なスキルであり求人数も多いのが特徴です。

ITエンジニア・Web系と営業・営業管理・CS系

高収入求人の比率と全求人の比率にギャップがある:これらの職種の全求人に対する割合は高いものの、年収500万円以上の求人に占める割合は低めです。これは、これらの職種の求人には高収入のものも多いが、全体としては中収入や低収入の求人も多くバラツキがあることを示唆しています。

経営幹部・経営管理職の高収入求人の割合が全求人に対する割合より高い

これは、この職種が求人件数は少ないものの、高収入を得やすいという事を示しています。経営幹部や経営管理職は、企業の重要な意思決定を担当し、その責任と引き換えに高い報酬を得ることが一般的です。
※建築・建設・土木技術者とその他の職種(サービス、販売、運輸系、教育、医療、福祉)の求人は弊社の不得意分野で、データの収集が不十分であることを補足します。実際に建設・土木の技術者の求人は給与水準は他産業と比べてとても高く、求人数も豊富です。

沖縄の年収500万円以上の求人の特徴

これらの求人は、一般的な求人と比較して、以下のような特徴が見られます。

  1. 経営陣に近いポジション
  2. マネジメント職
  3. 戦略立案や企画、間接部門
  4. 専門性
  5. 自由裁量が大きい
1.経営陣に近いポジション
これらの転職者は企業の重要な意思決定に関与し、ビジネスの戦略立案や企画などを担当することが多いため、経営サイドと密接な関係にあるポジションを占めることが多いです。
2.マネジメント職
部署やチームのマネジメントに関わるポジションを占めることが多く、リーダーシップやコミュニケーション能力が求められます。また、企業文化や社風を理解し、適切な判断を下す力も求められます。このようなポジションは、給与や待遇が高い傾向があります。

3.戦略立案や企画、間接部門

私たちが支援する転職者の中には、ビジネスの戦略立案や企画を担当する人々が多く、また間接部門(財務経理・人事)でも企画戦略的な立ち位置を担うケースが多いです。

4.専門性

IT、建設、製造業界の開発者や技術者、または特殊な専門知識や難易度の高い資格を持つ専門性を求める求人

5.自由裁量が大きい

 即戦力としての採用や幹部候補としての採用は、自身の専門知識や経験を活かし、自由な発想と実行力、セルフマネジメントが求められます。その結果、自由裁量が大きくなる傾向があります。

上記のデータについて、弊社のデータであり、県外からみた一般的な感覚値とすり合わせるために若干の補足をします。

近年、沖縄ではIT関連の求人が大変盛り上がりを見せています。
その幅広さと、比較的高額な給与を提示する求人の多さは、県内でのIT業界の活気を示しています。

一方、建設業界の技術系については、求人の数は確かに旺盛で、年収も高い傾向にありますが、弊社の支援傾向から見て、まだ十分にお手伝いできていない状況にあります。これは、地域や業界のニーズと弊社のサービスが完全に一致していないことを示しています。

製造業については、他の府県と比べて非常に求人数が少ないのが現状です。食品加工業の求人は存在しますが、大規模な製造業は少ないのが特徴です。

コンサルタントの求人は、ほとんどが士業に集中しており、税理士や社労士などの職種が多くを占めています。

そして、高年収帯の金融業界の求人については、首都圏と比較して非常に少ないのが現状です。このことは、地域の経済状況や人材の流動性など、さまざまな要因によるものと考えられます。

年収を担保するにはどのような求人の傾向があるかを見てきました。

ではどのような人材を求めているのでしょうか?

「企業が求める人材の特徴とは?」「高年収の人材の特徴とは?」などの定性的な情報は、世の中にたくさん溢れていて、それは沖縄でもほぼ共通しているのですが、我々の持つデータをみると、ふたつ興味深い定量的なデータがありましたのでご紹介いたいします。

沖縄県内企業は県外就業経験者を求めている

弊社がお手伝いさせてい頂いた転職決定者の中で、県外での就業経験のある方と、県内のみの就業経験のある方で割合をとると、

県外就業経験あり:なし(県内就業経験のみ)= 73%:27% 

となり、県外就業経験ありが大幅に高い状況がみてとれました。

 

また、これを500万円以上の求人に絞ると、

県外就業経験あり:なし(県内就業経験のみ)= 84%:16% 

となり、より県外就業経験がある人材の比率が高まりました。

 

実際に、我々が企業様と採用したい人物像をお聞きすると、積極的に良い人財を採用しようとする企業ほど、県外での就業経験のある人材を欲する傾向が強いです。

それには色んな理由がありますが、端的に言うと「よりレベルの高い社会人経験を積んだ人材が多い」からです。

また顕著な傾向として沖縄に本社を置く多くの会社が、県外の就業経験のある人材の中でも、Uターン者  つまりは沖縄県出身者を好む傾向があります。Iターン者でも、配偶者が沖縄県出身であったり、県内になにかしら地縁血縁がある人材を好みます。

これはある一定、定着性が担保できるからです。

なぜならば、沖縄県と他府県では大きく就労環境や待遇、また生活面などが違うので、そのギャップで辞めてしまうのではないか?という懸念が企業側にあるからです。

実際にIターン移住者の中には、観光で沖縄が好きになり、実際に移住したものの、観光するのと住むのとでは大きな違いがありそのギャップで、短期間で内地へ帰ってしまったという話をよく聞きます。

企業側は、転職希望者が沖縄にどれくらい関わりがあるかを相当気にしています。とはいえ、なかなか企業側から「ご出身はどちらですか?」と直接的に出自に関わる質問ができないです。

※職業差別に繋がる恐れのある質問は面接ではNGであると、人事であれば誰でも知っているのですが、悪気なく質問してくる人事以外の面接官もいます。

ですので、沖縄に地縁血縁がある方は積極的にプライベート情報を開示をすることをお勧めするのと、地縁血縁が無い方は「沖縄が好きで年に〇回観光で来ている」など沖縄の関わりを積極的にお話しすることをお勧めします。

 

職務経験×英語力のある人材を求めている

仕事上で英語を活用する、もしくは英語を評価されて決定に至った人の割合が約10%ですが、これを年収500万円以上の決定実績に絞ると、20%まで跳ね上がります。

けっして英語の経験のみで高い年収を獲得できるわけではありません。

しかし、前述の500万円以上の求人の特徴にある職務経験などの専門性と、英語力の掛け合わせによって、年収が大幅にあがるのは間違いありません。

ポイントは
【専門性】×【経営・マネジメント経験】×【英語・県外就業経験】

以上は、弊社の転職エージェント事業の6年間の実績データです。偏りがある可能性がありますが、この内容を踏まえると、沖縄で年収500万円以上を確保するためには、求人傾向に合わせた転職活動が重要です。経営陣に近いポジションやマネジメント職、戦略立案や企画に関わるポジションなどが高年収の求人に多く見られることが、上記のデータにもあるようにわかります。また、営業・IT・財務・経理・人事など業種に問わない汎用性のある特定職種の専門性も重要になるポイントです。加えて、県外での第一線での就業経験のある方や英語力のある方が求められることにも留意が必要です。その経験があれば、より「専門性」や「経営マネジメント経験」が倍加されるイメージです。

つまり、「汎用職種の専門性」「経営・マネジメント経験」「英語・県外就業経験」が重要であると言えそうです。

求人傾向に合わせたキャリアパスを描き、経験やスキルを積み重ねることが、年収アップへの近道になるでしょう。これは沖縄に限らず、東京など他の地域でも同じことが言えると思います。逆を言えば、沖縄でも東京でも変わらないと言えるかもしれません。

ただし、沖縄と東京をはじめとした他の地域とでは業種の偏りが大きくあることから、汎用職種の差があると思われます。もし、その点を詳しく知りたければ、ぜひ弊社の転職支援サービスにお申込みください。

沖縄での転職を考えている方は、自身が持つスキルや経験を再確認し、求人傾向に合わせたキャリア戦略を練ってみることをおすすめします。

島村 賢太 Shimamura Kenta
キャリアコンサルタント
沖縄県石垣島生まれ。横浜国立大学を卒業後、株式会社リクルートへ入社。その後「リージョナルキャリア長野」において人材紹介業の営業職、コンサルタント職として従事。沖縄にUターン後、株式会社レキサンを設立し、代表取締役に。3児の父であり、休日は子供とMinecraftに勤しんでいる。

カテゴリー

コンサルタント

SNSをフォローする

Facebook Twitter