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前回の記事では、結婚・出産・介護などライフスタイルの変化があり、沖縄にUターン移住転職を検討されているビジネスパーソンに向けて、気になる給与のデータや、高年収帯の求人の傾向、求められる人材の傾向を、弊社の過去の200件のマッチングデータ(N数は多くはありませんが)から定量的に傾向を述べました。

転機に立つビジネスパーソンのための沖縄移住・転職ガイド。年収500万円以上を確保する沖縄での転職について。

今回は沖縄移住・転職ができなかった失敗事例を基に、定性的な声をご紹介することで、お役立ちできればと思っております。

実際に沖縄へ移住転職できる人は少ない

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沖縄専門の転職エージェントとして我々は日々、転職希望者のご相談のお話を伺っており、転職相談者の半分は首都圏などの県外在住者です。Uターン希望者も多いですが、沖縄の特徴として、Iターン移住希望者も他の都道府県と比べて多い実感値を持っております。

実際に我々が属するリージョナルキャリアグループの全27都道府県に展開しておりますが、沖縄が最も高く、続いて北海道・長野の順で、県外からの転職者に占めるIターン移住者の割合が高いです。

転職相談者の半分は県外在住者ですが、実際に転職決定者に占める県外在住者の比率は、県内在住者:県外在住者 = 73% : 27% となっておりまして、沖縄移住を検討してみたものの、実際に沖縄に移住転職できる人は少ないことが如実に示されています。

前回の記事で、年収ダウンが沖縄移住転職の大きな阻害要因だと述べましたが、それ以外の理由も含めて、転職エージェントの我々から生の声をお届けし、沖縄移住転職活動のお役立ちができればと考えました。

必ずしも、移住転職ができないことが失敗ということではないのですが、断念された代表的なケースを以下に述べます。

沖縄へのUIターン転職の失敗(できない)事例

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給与への強いこだわり

例:絶対に現年収の700万円から下げたくない。

特に入社時(転職1年目)は下がるケースが多く、初年度は300万~600万円に収まる方がほとんどです。具体的なデータは前回の記事をご参照ください。

給与はダウンする可能性が非常に高いです。入社時点の給与だけでなく、その後のステップアップや評価制度も考慮に入れて「入社後に自ら上げに行く」という覚悟が必須だと思います。

また、支出額を考慮した可処分所得も含めて情報収集をした上で、現実的に可能かどうかを判断してみてください。

配偶者(奥様、旦那様)の強い反対

例:奥様が東京出身で、移住に反対している。

過去にあった例ですが、旦那様が沖縄出身で転職活動をしていたのですが、内定が出て初めて奥様やご家族と相談し、その時点で家族からの反対され辞退になり、せっかくの活動が無駄になってしまったケースがありました。

ご家族にとっても生活環境が大きく変わることになりますので、事前にご家族の同意は必須であります。またご家族の中でも優先すべき条件に考えの相違があります。事前に配偶者の方とお考えをすり合わせることによって、最短距離で転職活動が可能となります。

職種・業種へのこだわり

例:産業用ロボットの設計・開発をしてきた。この経験を活かしたい。

沖縄は産業構造が首都圏や他の都道府県と違って特徴的です。
例えば、他の地方だと引っ張りだこなモノづくり系のエンジニアの求人がほとんどありません。

沖縄県外企業と比較して、多くの沖縄県内企業は企業規模が小さくなるため、業務範囲が増えるのが一般的です。 例)総務と経理が同一部署、営業がメンテナンスや納品を行う、など

ですので、自身の経験が活かせる幅広い職務を検討することがより肝要となります。

先ほどのロボットエンジニアの方は、設計・開発経験を活かして、製造業とは違う、ITシステム系開発会社のIoTに関わる新規開発部署へと転職に成功しました。
製造業とシステム開発業で業種は違いますが、製造業で培ってきた製品開発プロジェクトマネジメント経験と、C言語をつかった制御系システム開発経験を活かして、IoTの新規製品開発でご活躍されていらっしゃいます。

特に大企業経験者は職務が細分化されておりますので、UIターン転職にて、狭く深い守備範囲 → 広く浅い守備範囲というイメージを持たれていると良いかと思います。

とはいえ転職で職種を変えることは簡単ではない

先ほどの話の補足になりますが、沖縄に自身の経験をフルに活かせる求人がないため、職種や業種を幅広く検討しても、転職で職種・業種を変えることは簡単ではありません。30代になって年収が下がることを避けながらポテンシャル採用を受けることは希少であり、それでも成功するのは30代前半までが多い傾向です。不人気な業界や職種になるほど、また市街地エリアから外れるほど逆にポテンシャル採用が増える傾向にあります。

また、年収を維持したい方ほど、職種・業界即戦力であるべきです。 キャリアチェンジできても、その場合は通常よりも大幅に年収が下がることが多いです。

良い例)機械製造業→食品製造業、金融機関→経営コンサルタント、税理士法人など

全く違う職種はまず難しい。その際は既卒採用レベルなどジュニアレベルまで給与がダウンすることも視野に入れないといけません。

難しい例)営業→経理、接客→IT など

タイミングを逸する

例:良い求人だが、今は忙しいので転職活動ができない

沖縄をはじめ地方では、ご自身の希望や、これまでの経験職務や業界がマッチした求人は非常に希少です。ですので、東名阪など都心部から沖縄への移住転職活動は、数か月や場合によっては数年かけて情報収集を行いながら、求人が出てくるまで待つというのがひとつの基本戦略となります。

特に現職での給与も高く、生活も安定している40代以降の転職はその傾向が強いように感じます。その際に、良い求人が出たタイミングで動けるかどうか?が大きく明暗を分けます。

そのためには、以下の2点をあらかじめ整理して考えておくことが非常に大切です。(今回の記事の中で一番、お伝えしたいことがここです。)

1.UIターン転職で実現させたいことは何ですか?

  • 沖縄で暮らすこと?
  • 地元に貢献すること?
  • 心身ともに豊かな生活を実現すること?(ワークライフバランス)

2.ではそのうえで何を軸に意思決定しますか? 

  • 大事にすることは何ですか?

上記の2点を、ご自身だけでなく、ステークホルダーとなるご家族と十分に話し合っておくことがとても重要です。

また同時並行で、求人の情報収取をし相場観を身につけることによって、希少な求人が出てきたタイミングを逃さないようにすることです。

この点は、沖縄県内の情報を最前線で把握している我々のような転職エージェントの介在価値が大きいので、ぜひご活用してみてください。

現職からの引き留め

ケース例:退職を告げた際に、現職企業からの引き留めにあい、断り切れず残留を選択した。

退職を告げた途端、昇給・昇格を交渉材料に、強い引き留めをされることがあります。待遇等の改善などが転職目的であるならば、転職する理由が無くなる場合もありますので、それは現職に残る選択となるでしょう。しかし、そもそも転職活動をする前に、まずは待遇交渉をきちんとやり切るべきです。沖縄移住の場合は、IT系の企業であればフルリモートなどの働き方を認めてくれるケースも多くなっていおります。

現職から引き留めに合っても、よく考えた末に決意した「転職の目的」に立ち返り、正しい判断をしましょう。

ネット情報(2次情報:第三者が加工した情報)に流される

例:ネット上に退職者からの誹謗中傷の書き込みがあった。その情報を過大に受け取る

ネット上の転職口コミサイトからの書き込みだけで、物事を判断することはリスクがあります。書き込みが真実であるとは限らず、偏った意見やあくまで個人的な感想です。また、口コミサイトには偽の書き込みや、競合他社による悪意ある書き込みも存在し得ます。

情報を収集する際には、複数の情報源を確認し、客観的な視点で判断することが重要です。昨今、WEB面接が当たり前になっていて、面接を受けるためのコストやハードルが下がっています。良さそうな求人があれば、まずは足を動かしてみて、実際に面接などで自分の目で見て確かめることが必要です。

加えて、もし気になる会社を知っていそうな知人や友人、業界関係者や転職エージェント、ハローワークの相談員などにも一次情報を知っている人に話を聞いてみると良いと思います。

田舎暮らしへの憧れ、都会暮らしの疲れ

例:都会を離れて、田舎でゆっくりワークライフバランスを重視して暮らしたい

移住は環境を変えることの手段ですが、受け入れ企業側も、仕事に邁進してくれる人材が欲しいもの。移住や転職のきっかけは、ワークライフバランスの改善でも良いのですが、それを移住転職の理由に前面にだしていくのは、考えものです。やはり会社に入る以上は、その会社でどのように活躍をしていくか、社会人人生を送っていくかを第一義に考えて面接を受けないと、簡単に経営者や人事から見透かされてしまいます。とはいえ隠すものとはまた違う話です。

ワークライフバランスは与えられるものではなく、自分で獲得していくものとして捉えること。

また面接の中では、ワークライフバランスの改善が移住や転職活動のきっかけということを正直にお話した上で、「仕事で高い成果を出しながらワークライフバランスを獲得していくために、こういった努力をして、こういった貢献ができる、こういった貢献をしていこうと思う」というお話をしましょう。

転居先の柔軟性がない

例:先に土地を購入してしまい、そこから1時間圏内で探す。

首都圏では通勤1時間はいたって普通ですが、沖縄では受け入れ企業側が敬遠するケースもあります。また沖縄は道路事情によりラッシュアワーの渋滞が社会問題になっています。

もし、転居先に柔軟性を持たせられるならば、求人の状況も考慮に入れて、転居先を選定されるのも手です。また、いったん引っ越して、ある程度沖縄の生活に慣れて生活感や土地勘を掴んだ上で、本格的に終の棲家を探していくというやり方も一つの手です。

移住転職はあくまで手段

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以上のように、沖縄へのUターン、Iターンの転職活動にてつまづきそうなポイントをいくつか定性情報で述べました。

しかし本当に大事なことは、移住・転職されてからです。移住後の沖縄ライフを充実させられて「移住・転職して良かった」と思えるか、また企業も「採用して良かった」と思って頂けるかが大事になります。

我々としても、移住転職される皆さんに「沖縄に移住して良かった」「この会社に出会えてよかった」と心から思って欲しいと願っておりますし、また我々のクライアント先の企業さんにも「この人を採用して良かった」と喜んで頂きたいと願っております。

またそうあらねば、我々のサービスが沖縄に定着して、真の意味で沖縄に貢献することはできないと考えています。

私たちは沖縄に根付き、そして沖縄を愛する、沖縄に特化した転職エージェントです。


2017年7月の創業から2023年4月までに、我々の手で転職を成功させた200件以上のエピソードがあります。それらの転職者たちの生活を通じて、我々は数々の教訓と経験を得てきました。

それらの実績の入社後の調査をすると、我々は6ヶ月以上雇用が継続された方の割合が87.8%、1年以上が79.2%という結果を導き出しました。逆に言えば、初めの6カ月以内に退職した方は12.2%、1年以内に退職した方は20.8%ということです。

この数値を公表すべきかどうか悩みましたが、公にした方が良いと思い記事に載せます。

沖縄への移住と転職は、新たな生活のスタートを切る大きな一歩です。

そして、その大切な一歩を支える我々として、これらの数値は我々の使命とも言える課題と捉えています。数字が全てを物語るわけではありませんが、これを明確に示すことで、沖縄への移住転職を考える皆さんに我々の現状やサービスレベル、また沖縄県内でのマッチングの難しさを伝えたいと思いました。

私たちは、沖縄移住転職希望者が沖縄での新生活を心から楽しめ、充実した日々を送れることを願っています。だからこそ、私たちはこの定着率を重要指標とし、サポートの精度を高めていくために日々精進しています。一人ひとりが沖縄で幸せになれるよう、そして企業が最適な人材を見つけられるよう、私たちはまだまだ努力を続けます。

沖縄への移住・転職を考えている皆様の、夢や希望、そして不安を私たちに打ち明けてみてください。我々は皆様と共に、最良の道筋を探し、描き出すパートナーに値するように日々精進をつづけてまいります。

よろしければ、ぜひ弊社の転職支援サービスにお申込みください。


島村 賢太 Shimamura Kenta
キャリアコンサルタント
沖縄県石垣島生まれ。横浜国立大学を卒業後、株式会社リクルートへ入社。その後「リージョナルキャリア長野」において人材紹介業の営業職、コンサルタント職として従事。沖縄にUターン後、株式会社レキサンを設立し、代表取締役に。3児の父であり、休日は子供とMinecraftに勤しんでいる。

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