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こんにちは!
株式会社レキサン リージョナルキャリア沖縄 代表の島村です。

これまで、3回にわたって沖縄県内のものづくりエンジニア全般の転職トレンドを連載してきました。

  1. ものづくり製造業経験者の沖縄県内転職について【Vol.1】
  2. ものづくり製造業経験者の沖縄県内転職について【Vol.2】
  3. ものづくり製造業経験者の沖縄県内転職について【Vol.3】

今回は、機械設計技術者の職種に関して、もう少し踏み込んでお話してみようと思います。

今回のブログの対象者は、

  • 機械設計のスキルを活かして転職をしようと考えていらっしゃる方
  • これからメカ設計として身を立てていきたいと思っていて、沖縄での就職を考えている機械工学系の学生の方
    になります。

機械設計技術者の職種について

県内の転職事情について考慮した方がいい理由

学生の方に関しては、多くの方が沖縄県外での技術者として新卒で就職をされるでしょう。ただ、県内の転職事情を知っておくことはとても大事だと思います。

なぜなら、琉大生や沖縄高専などの優秀な理工系人財で県外のメーカーに就職された方々が、結婚のタイミングやお子さんが誕生したタイミング、ご家族の事情などライフイベントの変化で,『やっぱり沖縄に帰りたい。』となったときのことも考えて、キャリア形成していく必要があるからです。

この仕事をしていてそのような転職希望者の技術者から何十人も沖縄への移住相談にのってきました。

新卒で県外メーカーに就職をすることが入口とするならば、出口戦略も考慮にいれながら就職活動をすることが大事だと思います。

さて本題ですが、これまでのブログでお伝えしてきましたが、沖縄と沖縄県外の製造業の産業集積のGAPが大きいことに起因しています。

県外で設計エンジニアとして揉まれて高いスキルを持っても、沖縄県内でそれを活かす場があまりないのが実情です。

企業がなく → 設計求人があまりないので → 企業の人材採用競争がなく → 給与も高まらない → 県外からUIターンする際の年収ギャップがあり転職を諦める 

という構造になっています。

機械設計のスキルを活かせる職種と年収例

そんな状況の中で、キャリアチェンジを含めて機械設計のスキル経験が活かせる職種と、転職直後の初年度年収例の目安(あくまで私の感覚値ですが。。)を述べます。

1.機械設計

まず純粋な機械設計職の求人は非常に希少です。

求人アグリゲーションサイトのIndeedで「機械設計」✕「沖縄」✕「正社員」検索すると数十件ヒットしますが、そのほとんどが技術者派遣会社の求人で全国募集とあり、沖縄の勤務地でも求人広告上では募集されていますが、沖縄での就業場所がないものがほとんどです。

また純粋なものづくりメーカーでのメカ設計は少なく、その内容はフィールドエンジニアで機器の保守やメンテナンスで、「機械エンジニア」という表記で検索にひっかかるケースが多いです。純粋な機械設計は沖縄県で顕在的な求人であるのが常時2~多くて5件程度と片手で数えられる程度です。

私の感覚値ですが、およそ300~450万円の給与レンジにハマるものがほとんどでした。
※求人広告の中で上限600万円と表記もありますが、人事の担当とお話をするとだいたい上記の給与レンジになります。

製造業ではなく建設業における機械設備設計が実はわりと多く、特に米軍基地や防衛省関連の求人に見受けられます。仕事内容として英語求人が多いのが特徴です。

一品一様ものの設備なので、そこにやりがいを感じる方もいるかもしれないので、狙い目かもしれません。

 

2.生産技術

これもほとんどみかけないですが稀に生産技術の設備担当としての求人もあります。

ラインの省力化などを検討する場合、FA装置などの設備の機械設計の経験者を求める求人もあります。ただし、沖縄県全体でも年に2~3件ほど見かける程度です。工場が拡張する際などに募集するケースが多いなと感じます。治具製作・加工などのスキルを求められるケースが多いです。

どちらかというと、生産技術はメカ設計者というよりもPLC制御や電気の設計経験者を求めるケースが多いです。こちらもおよそ300~450万円ほどの給与レンジになります。

3.その他
あまり見かけないですが、以下の求人も年に数件見かけます。

  • 金型設計 ※うるま市に金型技術研究センターがあります
  • 建築設計図や施工図作成、設備設計図などCADトレーサーやCADオペレーター※自動車メーカーなどのCADオペレーターのセンターも沖縄に多くあります。

ただし、給与は安く年収300万円以下の大半であり非正規雇用も多くなります。

上記が、私がこれまでに見た機械設計のスキルが活かせそうな、沖縄県内の求人になります。

正直、純粋な製造業での機械設計の求人がとても少なく、キャリアチェンジ前提で考えないとなかなか希望職種が見つからない状態です。正社員でキャリアチェンジしやすく、比較的年収が担保しやすい求人の種類としては、機械設備や機器のフィールドエンジニア・メンテナンスエンジニアが一番多く、次いで建設業やプラント業の機械設備設計などじゃないかなと思います。

・・・という、機械設計エンジニア希望者にとっては少し絶望的なお話をしてしまいましたが、足元で良いトレンドもあります。

沖縄県内 機械設計 求人のトレンド 

ここ最近のトレンドとして、本土(沖縄県外)で機械設計エンジニアが採用できないので、沖縄で設計拠点を設けるケースが増えてきました。企業誘致で特にうるま市州崎の企業立地促進センターに設計拠点を構えるケースが増えており、年に数社そのような求人を見かけます。

実際に弊社の那覇事務所に、中京圏のとある工作機械メーカーの社長が直々にご来社頂いて、「なかなか機械設計の技術者が採用できないので、そのためだけに沖縄に設計拠点を設けますので採用の手伝いをしてほしい」とご用命を頂きました。これは、電気設計や制御設計など実際にモノがないと仕事になりにくい設計職と違い、必ずしも製品や工場など現場の側に身を置かなくてもできる機械設計職ならではの仕事だと思います。また、これも中京圏の特定技術者派遣の会社さんが、2022年になって機械設計の設計開発拠点を那覇に設けた例もあります。その経営者から直接その理由をお聞きすると、沖縄出身の機械設計の従業員がUターンを希望していたことをきっかけとして開設したが、やはり本土では大手メーカーなどの採用競合が強くなかなか技術者が採用できないので、採用競合が少ない沖縄に開設したとのこと。 ※後日談ですがその経営者の方が沖縄ご出身でしたので、同郷のよしみもあり採用のお手伝いをさせて頂くことになりました。

ただし、上記の設計センターでの募集は、一定期間の県外の本社工業などで企業内習熟を伴う研修期間が必要な場合が多いです。求められる仕事やその人のスキルによりマチマチですが、場合によっては1~2年の研修期間をおくケースが多いです。

今後の県内機械設計職における求人の洞察と、今後求められるスキル

内地は慢性的に機械設計技術者不足であり、状況は構造的に解決できないです。ですので、大きく状況が変わるわけではないけど、漸進的に県内のメカ設計の求人が増えていくのではないか?と思っております。そういった前提に立ったときに、どのような経験やスキルを身につけるべきかというと、

機械設計だけのスキルではなく、お客さんから信頼を獲得し、会社ではなく、「この人に仕事を任せたい」と思わせる経験やスキルを身につけることが何より重要だと思います。要は会社の看板でなく、自分を買ってもらうことが大事であり、そのために、技術力に加えて、お客様折衝経験やコミュニケーションスキルなどが必要。そのための環境としてベストは、業務が細分化されていない会社や新規事業部門などの小さな組織で、顧客対応を伴う職務をこなし、お客さんに評価してもらうこと。そうすれば、多能工的に色々な業務をこなさなければならず、自ずと一人でも案件を回せるようになります。

つまり極端に言うと、フリーランスでも食べていけるように備えることが大事だと思います。一番理想な形は、内地でサラリーマンとしていち機械設計エンジニアとしてお客さんに認めてもらい、その仕事を沖縄にもってきて独立できるくらいに、お客さんとのパイプを太くすることです。そのような技術者になるには、どうすればいいか?逆算して考えることが、沖縄へのUIターンの可能性があるエンジニアにとって大事なのではないかと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

最後に、これからメカ設計技術者としてキャリアを送ろうと志していて、いつかは沖縄で働きたいと思っている学生さんへ。

いち機械設計技術者、エンジニアとして一人でも独立できることを目指して欲しい。
今の日本でのロールモデルとなる設計者はなかなか見つからないかもしれませんが、ぜひそこにチャレンジしてみてほしいなと思います。最近では、「ひとりメーカー」 Bsizeの八木啓太氏がロールモデルとして近いかなと思います。八木氏は製品化までの全ての工程をほぼ一人でこなしている設計者もいます。大変難しいことだと思いますが、ぜひチャレンジして、沖縄のエンジニアのロールモデルとなる設計者となって、製造業「不毛の地」と言われる沖縄で可能性を切り拓いて欲しいなと切に願います。またもし身近に沖縄で頑張っている、ものづくりの設計者(メカ・エレ問わず)がいらっしゃいましたら、是非当ブログで取り上げさせて頂きたくお声がけをお願いしたいです。是非、沖縄で働きたいエンジニアのために、ロールモデルとしてインタビューさせてください。

今後とも、株式会社レキサンをどうぞよろしくお願いいたします。

島村 賢太 Shimamura Kenta
キャリアコンサルタント
沖縄県石垣島生まれ。横浜国立大学を卒業後、株式会社リクルートへ入社。その後「リージョナルキャリア長野」において人材紹介業の営業職、コンサルタント職として従事。沖縄にUターン後、株式会社レキサンを設立し、代表取締役に。3児の父であり、休日は子供とMinecraftに勤しんでいる。

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